物流現場もロボットにおまかせ!進む省人化の流れ

ピッキングとは、倉庫に保管されている商品を取り出して移動させることをいい、物流倉庫で日常的に行われる作業のひとつです。しかし昨今の現場では、eコマースの増加などで商品の移動も激増、もはや人力だけでは追いつけないところまできています。そこで登場したのが、ピッキングロボットです。どのように使われているのかを見ていきましょう。

製造業とは異なる物流業のピッキングロボット

ピッキングロボットは、製造業では早くから導入されていますが、その多くは固定された場所で稼働するもので、ロボットにできる作業も限られたものでした。一方、物流業の倉庫で行うピッキング作業はより複雑ですので、ロボットはあちこち移動しながら作業を行わなければなりません。また、商品を取り出すにしても、棚にある商品の形や大きさ、重さから硬さまで、商品ごとにすべて違うため、それぞれに合った取り出し方が必要となります。また、商品の種類は日々変化するうえに、広大なスペースである倉庫の中で保管場所がその都度変わるケースもあります。これらを考えれば、製造業と同じロボットでは対応できず、ピッキングロボットはより進化したものでないと物流倉庫では使えません。

Amazonが採用したサポートロボットとは

Amazonは、こうした複雑な物流倉庫で対応できるピッキングロボットとして、2012年に買収した「Kiva Systems」の自動搬送ロボット「Amazon Robotics」を現場に投入。2016年現在、13拠点で約3万台が稼働しています。同社によると、このロボット導入後、これまで人の力で行っていたピッキングから出荷までの作業が4分の1の時間で行えるようになったということです。その結果、1倉庫当たり約25億円もの大幅なコスト削減に成功。ロボットは、ピッキングの指令を受けると商品のある棚まで移動して、棚ごとにいる作業スタッフのところまで商品を運んでくる仕組みになっています。

こうしたロボットの活用により、Amazonは大幅な省力化を実現しましたが、それでもこの「Amazon Robotics」のロボットにできる作業は限定されたもので、まだ多くの作業において人の手が必要なようです。さらなる効率化のため、商品の収納や棚から商品をピックアップする作業、さらには梱包作業などもロボットで行うようにしたいとAmazonは考えています。

Amazonが開催するピッキングロボットの大会

Amazonでは、ピッキングロボットの性能向上を目指して、ロボット開発コンテスト「Amazon Picking Challenge(APC)」を開催しています。このコンテストを通じて、Amazonはより効率的な作業が可能なロボットの開発を、各メーカーに奨励。そのなかから優れたロボットを採用し、なおいっそう物流倉庫の収納・出荷作業の効率化を図りたいとAmazonは考えているそうです。

このAPCは、2015年に米国電気電子学会が主催する「ICRA 2015(ロボット工学とオートメーションに関する国際会議2015)」のなかで開催され、好評を博しました。さらに、翌年の「APC 2016」は7月2、3日の2日間、ドイツのライプツィヒで「Robocup 2016」(6月29日~7月3日)とともに開催されています。このコンテストには世界中から16のチームが参加し、日本からもAA-Team(東京大学)、C^2M(中部大学、中京大学、三菱電機の混成チーム)、チームK(東京大学JSK)、PFN(Preferred Networks)の4チームが出場しています。このコンテストは、開催されるごとに充実度が増しており、2016年のコンテストではピッキングした商品を容器に入れる収納作業まで行い、参加した各チームが高い技術を競い合いました。

このように、Amazonのピッキングロボット導入と、ロボット開発コンテストは順調な滑り出しを見せていますが、物流業界における倉庫の「ロボット競争」はまだ始まったばかりです。業界では、Amazonのロボット導入が好調なのを見て、他社も追随する動きを見せています。例えば、米国の「Fetch Robotics」は「Fetch」と呼ぶマニピュレーターと「Freight」と呼ぶ可動ベースの2つのユニットで構成される新型システムを開発し、新たに参入しようとしています。いまのところ、まだ先行するAmazonが一歩リードしていますが、近い将来数多くの企業の参入により、新たな「ロボット競争」と呼べる状況が物流業界に起こる日がやってくるでしょう。

 

参考:

ピッキングロボットが人間を超える日は来るか|未来コトハジメ

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