物流倉庫で活躍が期待される搬送ロボット

物流倉庫業務のロボット化のなかで、特に技術革新が著しいのが搬送ロボットです。搬送ロボットの技術は現在どこまで進んでいるのでしょうか。また、今後どのように発達していくのかも併せて見ていきます。

棚が動くという逆発想の搬送システム

搬送ロボットというと、ロボットが動いて棚から物品をピッキングすると考えるのが普通ではないでしょうか。しかし、最新の物流倉庫では、人ではなく棚が自動的に動いて作業者の前まで来るという、これまでにない発想でのシステムが主流となりつつあります。その仕組みはどのようなものでしょうか。

これまで、ピッキング作業は作業者が倉庫内を移動して、物品を一つひとつピッキングしなければなりませんでした。広い倉庫内を作業員が歩き回るのは非常にロスが多く、作業効率を大幅に低下させるものでした。しかし、最新鋭のロボットを使うと、作業者はまったく動く必要がなく、棚が動いて作業者の前まで物品を運んでくれるのです。

近年、物流倉庫業務で開発が進むロボットのなかには、これまで製造現場で使われていた、自律走行型の無人搬送車を物流倉庫向けに転用したものがあります。例えば、日立製作所が開発した棚搬送ロボット「Racrew(ラックル)」がこれに当たります。

仕組みは簡単で、Racrewが倉庫内の保管棚の下に潜り込み、保管棚を持ち上げて作業者の前まで運んでくるというものです。保管棚が到着するとデジタルピッキングシステム(DPS)の表示装置が作動し、作業員はランプが点灯した位置にある商品を、表示された数量だけ取り出して仕分け棚に移します。これだけでピッキング作業は終了です。そして、仕分けが終了すると再びRacrewが作動して保管棚を元に戻します。

このように、人による手作業を極限まで省略したこの方式は、今後倉庫ロボットの主流になると期待されています。

100台同時に制御できる搬送ロボット

現在、搬送ロボットの開発には各社がしのぎを削っており、その進化は目覚ましいものがあります。パナソニックが開発した、無人搬送できるロボットを100台同時に制御できるシステムも、すでにかなりの段階まで開発が進んでいるようです。

このロボットは高さ132mmと非常に小さく、倉庫内を無軌道で自律走行することが可能。800kgの荷物を持ち上げて秒速1mで移動できる性能を持ち、停止すると180度回転することができるなど、運動性能も優れています。制御はすべてレーザーセンサーによってなされており、壁や障害物を回避したり、パレットの形状を認識して中央に潜り込んだりすることも可能です。さらに、Wi-Fiを通じた制御により、ネット環境さえあれば100台を同時に動かすことができます。もちろんそれらはお互いに衝突することはありません。所定の搬送を行った後は、空いている停留所を自ら探し出して帰還します。

こうした機能により、狭い保管棚にも自由自在に入り込み、しかも100台まで同時に制御できるので、大幅な作業効率アップを可能にすると期待されています。パナソニックでは2018年までに同ロボットを製品化する予定で、今後さらに改良を進めるということです。

ニトリが導入する無人搬送ロボット

今年の1月には、ニトリのグループ会社であるホームロジスティクスが無人搬送ロボット「Butler」を導入すると発表しました。人工知能を搭載し、これまでの物流倉庫の作業ロボットの概念を覆すButlerの機能とはどのようなものでしょうか。

Butlerの基本的な機能は、は可動式の商品棚を持ち上げて動かすことです。このメリットは、可動式であるために平棚よりも保管効率を高められる点にあります。Butlerを活用することで、次のような環境を実現することができます。

  • 作業者が動くことなく、定位置で作業可能
  • さまざまな大きさの商品の取り扱いが可能
  • AIによる作業効率の向上(出庫頻度により棚の保管位置を自動で変える)

作業者は動かず棚が動くことは、先にも述べたように業務のロスを軽減し、大幅な作業時間の短縮につながります。また、可動式の商品棚とButlerはそれぞれ1台単位で増やせるため、扱い商品数や数量の増減に合わせた微調整が可能となり、倉庫内の作業をよりいっそうスムーズに行うことができるのです。

 

物流倉庫では、作業者ではなく棚が動いてくるという、逆転の発想で作られたシステムが主流となりつつあります。100台同時に制御できたり、小型化したり、と各メーカーが創意工夫をこらして開発競争を続けるこの分野から今後も目が離せません。

 

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