物流機器の今 ICTと物流機器

IoT(Internet of Things)、スマートファクトリーにインダストリー4.0、AI(人工知能)にAR(拡張現実)と、世の中のICTは急速に進化しています。ここでは物流機器とICTの関係を取り上げ、物流機器の動向を紹介します。

製造業のインダストリー4.0対応が物流機器のIoT化を進める

ドイツ政府が産官学共同の国家プロジェクトとして推進している政策、インダストリー4.0(第4次産業革命)の影響は、日本でも2016年4月に経済産業省が日独IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明を発表するなど、国内製造業にも広がりをみせています。

この流れのなかで国内の製造業は、設計・開発・調達・製造・販売・アフターマーケットにおいてインダストリー4.0に追従するため、「スマートファクトリー」を目指すことになります。これは工場内の設備や機器のすべてをネットワークに接続し、品質や状態の管理を行う次世代型の工場のことです。工場がスマートファクトリー化されれば、当然工場を出入りするものについてのIoT化が求められるでしょう。つまり、調達時にはインバウンド物流、販売時にはアウトバウンド物流、といった両面で業務プロセスのIoT化が求められるのです。

業務プロセスのIoT化を進めるためには、物流機器単体のIoT化が必要になります。輸送機器・保管機器・搬送機器・荷役機器といったすべての物流機器と、それをまとめる物流システムでのIoT化の流れがさらに加速していくでしょう。

ネット通販拡大によっても物流機器のIoT化が進む

経済産業省の発表によると、国内の消費者向け電子商取引の市場規模は2015年で13.8兆円に上ったとのことです。急速に拡大するネット通販のボリュームと、エンドユーザーが求めるスピードに適切に対応していくため、この分野での物流のIoT化は喫緊の課題だといえるでしょう。ネット通販の基幹となっているのはECシステムです。受発注はもとより、在庫数の管理や宅配便の追跡など入庫からエンドユーザーに届くまでのすべてのデータが一元管理されています。こうしたECシステムに連携する以上、物流機器のIoT化は必須条件です。ミスなく素早く大量のデータを管理するために、保管機器が在庫状況を、搬送機器が出荷数量を、荷役機器が出荷状況を、輸送機器が現在位置を管理することが求められます。

他分野からのICTの流入が進む

先に挙げたスマートファクトリー実現の裏には、さまざまな自動認識技術の飛躍的な進歩が挙げられます。

RFID

交通系電子マネーでおなじみのRFID(Radio Frequency Identification)は、技術の進化と製造量の拡大により大幅に単価が下がりました。物流機器に取り付けて個数・位置情報の管理をするのはもちろんのこと、回収できない商品への取り付けも可能なほど低価格なものもあるため、全ての商品に取り付けて、出荷する商品の種類や個数をゲート通過時に読み取ることができます。

センシング

空港のセキュリティーで使われている画像処理技術や工場内の工程管理で使われているセンシング技術もIoTにおいて重要です。物流面では、これらの技術によって検品を機械化することが考えられます。

AI

囲碁や将棋ロボットでおなじみのAI(人工知能)には、在庫切れのリスクを小さくし、かつ保管コストを低減する最適な在庫数を考えさせたり、最適化のために倉庫内の動線を何百通りと計算させたりすることができます。

AR

スマートフォンのゲームなどに使われているAR(拡張現実)を利用して、スマートフォンのカメラを梱包に向けると、内容物を視覚的に確認しながら画面上に指示された次の輸送先まで搬送する、というような使い方もできるでしょう。

ICTの物流機器への取り込みはすでに始まっていますが、今後もアプリケーションの開発によってさまざまなICTが流入してゆくでしょう。

進化する物流機器

ICTによる物流の高度化は単にモノの流れを便利にするだけではなく、消費者の購買行動にも密接に関係します。ネット通販で頼んだ商品が足りなかったり、配送先が間違っていたり、配達にかかる時間が他社より遅かったりすれば、顧客は次回から他社での購入を検討するでしょう。逆に言えば、物流の高度化は企業のサービスに付加価値を与えるのです。物流を支える機器は、物流だけでなく企業のサービスが新しい次元に移行する進化の最中にあるのです。

 

参考: