成功する物流アウトソーシングとは?

物流業務全体を包括的に請け負う「3PL(サードパーティロジスティクス)」と呼ばれる物流サービスが登場し、倉庫業務やトラック輸送にとどまらず物流のさまざまな工程をアウトソーシングすることができるようになっています。たとえば、製品の検品作業やラベル貼りといった流通加工まで、熟練した作業員を抱えている企業に委託することができます。

一方で、アウトソーシングしない方がよい業務もあります。社内の特殊なノウハウを要する作業や高度なサービスをアウトソーシングしてもよいものでしょうか? アウトソーシングの要件、メリット、デメリットを解説します。

アウトソーシングの前に。「物流」の要件は定義できていますか?

経済産業省の調査によると、物流アウトソーシングの目的は「コスト削減」であるという企業が全体の半数を占めています。コストダウンは企業戦略のなかで重要であることは確かですが、「物流コスト」といわれる部分は、必ずしも財務会計のように定義が明確ではありません。

トラック運賃や倉庫費用のみを物流コストとして考えている企業から、生産・配送拠点の配置や在庫の計画といった物流に関わる情報、環境活動まで物流コストのなかに含めている企業までさまざまです。

そこで、アウトソーシングをするにあたって、自社の物流コストをエビデンスに基づいて算定する基準づくりが最初の要件になることがあります。

また、「コストがかさむ」といった課題を抱えているとしても、その課題が物流戦略 → 物流プランニング → 物流オペレーション と階層化された構造のどこにあるのか正しく把握することも必要です。この部分があいまいなままでは、アウトソーシングがコスト削減になるとは限らないことを認識する必要があります。

専門的アウトソーサーの力を借りる。アウトソーシングのメリット

「物流コスト」の内容を企業内で明確に定義することができれば、コア業務以外の部分をアウトソーシングすることが可能になります。

充実した設備やノウハウを持った専門性の高いアウトソーサーの力を借りられるという点がアウトソーシングを利用するメリットです。

委託元の企業としては、業務をスピードアップしたり、経営資源をコア業務に集中させたりすることができます。

アウトソーシング先の物流専門企業の強みは、複数の委託元企業からのアウトソーシングを引き受けることでスケールメリットを発揮できるという点です。

人員や倉庫などの場所、物資の入出庫や運送にかかる車両・器具備品などのコストを、年間を通じて平準化することも可能です。

委託元では、多品種少量で生産されるものや季節変動の大きい製品・取扱商品の物流をアウトソーシングすることによって、取扱量のバラ付きなどからくる無駄を削減することができます。

また、製品の検品作業や返品対応などの付加価値を提供しているアウトソーサーもあります。特定分野の製品における品質管理に慣れた作業者の力を借りる、不定期に発生する返品の対応のために人員を増やさずにすむ、といったメリットも得られることでしょう。

失われたノウハウは取り戻せない。アウトソーシングのデメリット

一方で、アウトソーシングにはデメリットがあることも認識しなければなりません。従来、企業の内部で実施していた業務を外部に委託するということは、業務内容の一部を他企業に開示するということです。そのため、機密やノウハウが漏えいするというリスクがあります。

また、いったん「コア業務外」としてアウトソーシングした業務は、その業務フローや細かいノウハウを理解しているスタッフが社内にいなくなるということになります。このため、業務のブラックボックス化が起きてしまう可能性もあるのです。

最初の段階で物流コストの明確化ができていない場合、いったんアウトソーシングして社内から失われてしまった業務を、もう一度コア業務として内製化するのは簡単なことではありません。

また、きめ細い配送サービスなどによって競合との差別化を図る計画を立てても、業務フローが失われているためにそうしたサービスの提供が困難になるといった懸念もあります。

物流アウトソーシングを成功させるために

アウトソーシング先を選定するうえで、「他社が物流コストを何%削減できた」という情報を元に、自社にそのまま当てはめるアウトソーシングは難しいものです。

「物流コスト」の要件をきちんと定義し、外部の力でコストダウンが図れる業務を明確化しましょう。そのうえで、アウトソーシングによるメリット・デメリットを考慮し、自社にとっていちばん最適と思われる体制を検討することが、物流アウトソーシングの成功への近道です。

 

参考: