物流版ウーバーは人材不足を補えるのか!?注目される理由とは

人材不足が深刻化している物流業界で最近登場しているのが、配車アプリ「ウーバー」をモデルにしたサービスです。ここでは「物流版ウーバー」が注目される理由と、展開するにあたっての注意点を解説します。

「物流版ウーバー」の仕組みはどういうものか

2017年8月末から東京23区内で「物流版ウーバー」というべきサービスが開始されました。ウーバーとは、米国のウーバーテクノロジーズが展開する配車サービスで、通常のタクシーだけではなく個人ドライバーも登録・運送できることが注目され、世界中で展開しています。このウーバーの仕組みをモデルとして、個人が自転車やバイクを使って他人の荷物を運ぶサービスが登場しているのです。

そのうちの1つ、バイク便大手のセルートは配送アプリ「DIAq(ダイヤク)」を開発しました。荷主と配達員をマッチングする配送アプリには、これまでの軽貨物運送業者以外にも、自転車や原付バイクしか持たない人も登録することができます。

使い方は荷主が配送アプリを使って荷物の数や住所をインプットすると、付近にいる配達員が表示されます。表示された配達員の希望運賃やこれまでの荷主からの評価を閲覧できるので、荷主は提供された情報を参考にして配達員を選択。配達員はセルートへの手数料20%を差し引いた金額を収入として受け取ることができます。

この手数料20%というのは、実は物流業界ではかなり低いものです。配達員調整のために発生していた人件費などの従来の手数料は40%を超えていましたが、アプリで荷主と配達員が直接やりとりできるので、手数料を抑えて配達員の収入を上げることが可能なのです。手数料を安く抑えることは荷主にとって配送料金が安くなることにもつながり、このサービスの魅力となっています。

また、配達員の位置情報や配送にかかる時間が分かることもメリットといえるでしょう。さらに、受取人がアプリに受領サインを入力すると荷主とセルートへ連絡されて配送完了になるという流れもポイントです。伝票が不要なペーパーレスの仕組みなので、配達員が伝票を届けるために会社に行く必要がなく、配送業務に専念できるのです。

なぜウーバーが物流業界に適しているのか。注目される理由は

このような個人を含めた配達員を顧客と直接マッチングするという発想はまさにウーバーと同じものですが、こうした仕組みは荷主と配達員にとってどのような魅力があるのでしょうか。

魅力の1つに挙げられるのが配送のスピード。荷主は1分でも早く荷物を届けたいと思っていますが、これまでのバイク便などでは、配達可能な配達員が見つかるまで電話をかけ続けなければならないといった時間のロスが発生していました。こうした無駄は、マッチングアプリを使用すれば大幅にカットすることができます。速やかに荷物を配送できて、手数料を抑えて配達料金が安くなるのは荷主の利点となるでしょう。

配達員にとっては荷主からの評価制度があることでやりがいを感じることが多いようです。また、従来の個人ドライバーは企業と契約して仕事を請け負っていましたが、トラブルが起きた際にドライバーが不利になりやすい契約が多かったことや、大手企業との契約が他社から仕事を請け負うことへの制約になることもあり、仕事としての魅力が薄いという実情がありました。

有効に時間を使って働きたい配達員はもちろん、登録すれば空き時間に働けるため、主婦や学生にとってもマッチングアプリは画期的なツールとなるでしょう。

さらなる展開にあたって注意する点は

荷主、ドライバーともにメリットが大きいマッチングアプリですが、展開するにあたって注意する点とは何でしょうか。

自身の予定に合わせて働くことができる配達員ですが、注意点があります。まず、配達員はその企業の従業員ではないので労災が適用されないということです。自転車やバイクを使って配達をするので、万が一の事故のためには自身で保険に加入しておかなくてはなりません。加えて課題となっているのが破損や盗難といったトラブルの際の責任です。

事業者はあくまで「荷主と配達員を仲介する」という立場のため、基本的にはそうしたトラブルへの責任をとらない方針をとっています。そのため、不手際の際のリスクは荷主・配達員に残ってしまうといえます。

また、社会的な影響という問題も考えられます。配達時間は評価に繋がるため、評価ばかりに意識を向けてしまうことで交通ルールを守らないケースも考えられるでしょう。これは配達員個人の問題ではなく、サービスを提供する事業者の評価につながる可能性があります。

まとめ

「物流版ウーバー」といえる個人ドライバーとのマッチングアプリは、荷主と個人ドライバーの双方にとって大きなメリットをもたらしてくれます。仕組みも理にかなっており、インターネットが身近になった現在では導入しやすいサービスです。日本で拡大を広げるためには課題や改善しなければならない点もありますが、人材不足が深刻化している物流業界において一筋の光となることでしょう。

参考:

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