はじめよう梱包設計

梱包設計と聞くと「3D CADを駆使して製品形状に合わせた緩衝材を作る」ことを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。梱包設計とは緩衝材の形状を決定することのみにとどまりません。今回は梱包設計をはじめるにあたって考えておきたいことを紹介します。

梱包設計とは形を決めることのみにあらず

梱包設計とは、単に安価なパッケージを選ぶことや、製品の形状に合わせた梱包材を作ることではありません。製品の流通過程すべてを最適化するために、梱包に必要な機能とそれを満足させる仕様を決めることこそが梱包設計なのです。

機能を考えよう

梱包の三大機能は保護性・利便性・快適性といわれています(関連記事:梱包材料の今。三大機能に付加価値)。この3つそれぞれについて梱包の機能を考えてみましょう。

保護性

内容物の品質・価値を損なうさまざまな要因、衝撃、温度、湿度、酸素、光、臭い、塵、傷などから内容物を守る機能が保護性です。対象物がどのような環境にさらされるかを検証することが保護性を考えるうえで重要になってきます。

「運搬は屋内・屋外どちらでしょうか。」

「運搬や保管時の気温室温の範囲と、対象物の品質が保たれる温度は?」

「人の手でゆっくり丁寧に荷扱いをするのか、それともコンベヤでビュンビュンと運ばれるのでしょうか。」

「光や酸素を遮る必要はありますか?」

 まず、何から保護するのかを洗い出していきます。

利便性

輸送時と保管時には識別や分別、運びやすさや置きやすさを与え、消費者には持ち運びやすさ、開梱や廃棄のしやすさ、リサイクルのしやすさを与える機能が利便性です。内容物を梱包・保管・運搬し、お客様が開梱し、梱包材を片づけるまでの過程を思い浮かべてみてください。

「軍手をして運びますか?」持ち手の穴は少し大きめがいいかもしれませんね。

「積み重ねて保管しますか?」連結できるパーツやずれ止めがついていたら便利そうです。

どんな人が、どのようにその梱包とかかわるのかを具体化し、機能として備える点を確認します。

快適性

内容物に関連する情報を表示したり、品質や美しさ、さらには清潔であること、未使用であることを示したりする機能が快適性です。

「お客様に、内容物や自社のどのような部分をアピールしたいですか?」

デザイン性、環境対応性、トレーサビリティ、梱包に訴えさせたい項目を決めていきましょう。

仕様を考えよう

仕様とは、検討した機能それぞれについての達成度合い、つまり数値を規定したものです。機能を細分化し、必要な項目を具体化・数値化することが仕様決定のプロセスです。

たとえば、保護性として「防水機能」が必要ならば、「1時間5mmの雨に5分間ぬれても、重さ3kgの内容物を支えられるだけの底の強度が必要」というように具体化・数値化していきましょう。

利便性も同様に、「作業用手袋をした指4本が入る持ち手用開口部(厚さ4cm、幅12cm)」というように決めていきます。

快適性は「高さ3mの棚の上にあっても、通路側から部品番号が読み取れること(ゴシック体、フォントサイズ72pt)」のようになりますね。

利便性や快適性は、効果の度合いについて分かりにくい項目があるかもしれません。そんなときは作業効率を計測すると実証できます。持ち手が形状Aの場合、5分間で運べる箱の数は平均10個、Bの場合は12個だった、というようなデータがあれば費用対効果も明確です。

仕様が決まっていれば、形状や材質が変更になった場合の対応も迷いません。形状や素材がどうあろうが、必要とする機能と仕様を達成できればいいのですから、より廉価な素材、より軽量な素材、より美しく機能的な形状へといつでも進化させることができます。


梱包設計をはじめるにあたって考えておきたいこと、機能と仕様について紹介しました。機能と仕様が決まれば、QCDなどの条件で梱包材を選択し、カタチを決めるのもスムーズです。どのように梱包設計を進めていくか、物流全体の最適化について、ぜひ物流のプロフェッショナルに相談してくださいね。(関連記事:【インタビュー】提案力と技術力。梱包設計で物流を支える