長い船旅の錆から商品を守るバリヤ梱包

長い船旅を経て送られた機械製品が、現地に届いたら錆(さび)によるクレーム……。機械製品にはこんなリスクが存在します。製品を一つ一つシートで覆って防錆処理を行い、湿度や温度の変化に耐えるように丁寧に梱包して送る処理、それがバリヤ梱包です。

機械製品の船旅リスクとは?

航空便の発達により、海外へ短い日数で安全に機械製品を輸送することができます。ですが、荷姿によっては飛行機に搭載することができない大きさであったり、航空便は輸送コストが高かったりといった制約のため、飛行機を利用することができない場合があります。

船便で海外へ輸送する場合、目的地にもよりますが輸送には1~3ヶ月程度かかります。長い船旅の間に気温や湿度の変化によって機械製品は内部で結露し、それが錆の原因となります。また、海水の塩や湿気にさらされることも錆の原因です。

そこで、機械をシートで覆い、シリカゲルのような乾燥剤を入れて空気を抜き、真空に近い状態にした上で梱包する方法を「真空梱包(バリヤ梱包)」といいます。真空化する処理のことを「バリヤ処理」または「真空引き」と呼ぶのです。

バリヤ梱包、どんなときに必要?

輸送する製品が、軽量で小さな部品であれば、バリヤ処理を一つ一つ行う必要はなく、錆のリスクのない航空便で運ぶことができます。そのため、バリヤ処理が必要になるのは、工場で使用される製造機器のように船便以外では運べない大型の機械や湿気に弱い電子機械が中心になります。こうした機械製品の場合、1点あたり1000kgを超えることも珍しくありません。

重量のある機械製品の場合は、「腰下」と呼ばれる木製の土台にボルトで固定してからバリヤ処理を行います。「ケースバリア梱包」といい、バリヤ処理した機械を密閉合板箱で覆って梱包するものです。機械を単にシートで覆うだけではなく、角をきちんと合わせて膨らみやシートの無駄が出ないようにぴったりくるみ、バランスを考えて全体に乾燥剤を配置します。シートの端は圧着して空気や湿気の侵入がないようにし、ポンプで内側の空気を抜いて仕上げます。ストレッチフィルムで巻いたり、ケースバリア梱包の場合はベニヤ板で外側から覆ったりと外部を補強する場合もあります。1点ずつ手で仕上げる作業です。

バリヤ梱包のコスト判断は?

バリヤ処理を行うには、PET樹脂にアルミ蒸着したシートで機械製品を覆います。作業は1点ごとに行うため時間コストがかかります。また、乾燥剤を適切に配置してしっかり真空処理を行うことができる熟練した作業者が必要で、選択するシートがどの程度湿気を通すかという透湿度によってもコストが変わります。

バリヤ梱包は木材の検疫のように「必ずしなければならない」という法的な義務が存在するわけではありません。輸送コスト高を考慮してでも選択する理由は、なんといっても顧客との信頼性の問題です。長い船旅を経て届いた製品が「輸送の間に錆が浮いていた……」という状態で顧客のところに届いてしまうリスクを避けるかどうか、という判断のうえで行うものです。

 

バリヤ梱包が必要になる製品は、どちらかといえば500kgを超えるような航空便での輸送が難しい機械製品が中心です。船旅での温度や湿度の変化は機械内部にまでおよび、錆の原因になります。見た目の問題だけではなく、機械製品が正常に動作するか、耐久性といった部分にも影響する重要な問題です。しっかりしたバリヤ梱包であれば、内部がほぼ真空になるように覆って乾燥剤で調整する処理ができます。「カタログスペックだけでなく、顧客のもとに届いたときの状態まで考慮されている」という信頼性を築くために必要になる処理なのです。

 

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