作業のムダを見つけ出せ!稼働分析・ワークサンプリングの実施方法

稼働分析の手法のひとつ、ワークサンプリング。今回はこのワークサンプリングについて解説します。ワークサンプリングとはどのような目的のために行われるものなのでしょうか。具体的な実施手順と計算方法、ワークサンプリングのメリットとデメリットもご紹介します。

稼働分析とワークサンプリング

ワークサンプリングとは何なのか、ワークサンプリングの目的から考えてみましょう。

稼働分析の目的

ある一定の時間において、生産活動に関わる人や機械がどのような作業にどれくらいの時間を使っているかを明確にすることを、「稼働分析」と呼んでいます。

稼働分析では、次の3つに作業を分類し、時間を計測することから始める手法がよく用いられます。

  • 利益へと直結する作業=「価値作業」
  • 必要だが製品の価値に直接影響しない作業=「付随作業」
  • 必要のない作業=「ムダ作業」

稼働分析の目的は、作業のムダを数値として表すことで、生産性向上へとつながる改善余地を探し出すことだといえます。

ワークサンプリングとは

この稼働分析の手法のひとつとして、最も多く使われている方法がワークサンプリングです。ワークサンプリングは「瞬間観測法」とも呼ばれます。稼働分析の手法には、他にも終日対象となる機械、あるいは従業員を一人の観測者が観測し続ける「連続観測法」と呼ばれるものもありますが、今回は広い範囲を観測でき、着目すべき問題点を見つけるのに適したワークサンプリングに焦点を当てていきます。

ワークサンプリングでは、各作業に対しどの程度の時間や工数を要しているかを観測し、統計的に把握する方法を取ります。この観測が瞬間的に行われることが、先に挙げた瞬間観測法と呼ばれるゆえんです。物流においては、ワークサンプリングによって倉庫内作業の生産性を把握し、そこから単価を算出することで荷主に見積もりを提出するケースもあります。

ワークサンプリングによる実施手順と観測方法

実際にワークサンプリングを実施する手順と計算方法は以下の通りです。

ワークサンプリングの実施手順

 1. 目的の明確化
   何を調べたいのかを明確にします。作業者についてなのか、機械についてな
   のか、どの作業についての作業割合を知りたいのかといった、観測の目的を
   はっきりさせます。

 2. 対象と範囲を選定
   観測する範囲を決めます。ワークサンプリング法の特徴は広い範囲を一人の
   観測者が見られる点なので、一人の作業者、もしくはひとつの機械について
   観測するのであれば、連続観測法を用いたほうが良いでしょう。

 3. 観測項目の抽出
   分析したい作業を具体的に書き出します。複数の作業者について分析したい
   場合は、それぞれの作業者が行う作業を項目化します。機械について分析し
   たい場合は「稼働時間」「準備時間」「非稼働時間」のように分けます。価
   値に繋がる作業なのか、無駄な作業なのかを把握したいのであれば、どのよ
   うな作業を「価値に繋がる作業」とするのかを定義付けしておく必要もある
   でしょう。

 4. 必要データ数を決定
   いくつのサンプルを取るのかを決めます。一般的には最初に100~300程度
   のサンプルを取り、その後精度を高めたい項目に対してデータ数を増やし統
   計分析を深めていく方法が取られることが多いようです。

 5. 観測ルール(回数・時刻・期間・経路)を決定
   1日に何回、何時と何時に観測するのか、いつからいつまで観測を続けるの
   か、工場や倉庫内のどのようなルートを通って観測するのかといったルール
   を決めます。観測時刻はデータに偏りが出ないようにするため、ランダム時
   刻表を活用する方法もあります。

 6. 観測
   実際の観測を開始します。

ワークサンプリングの計算方法

データが集まったら次のような方法で計算し、次の施策へとつなげていきます。

  1. 観測された作業全体に対し、各作業の所要時間を割合で表す。
  2. これらを価値作業・付随作業・ムダ作業に分類し、集計する。
  3. この結果をもとに、改善余地を見つけ生産性向上へとつながる施策を考え出す。

ワークサンプリングのメリット・デメリット

ワークサンプリングは多くの企業で採用されています。それは、次のようなメリットがあるからです。

  • 一人の観測者で複数の対象を観測できる
  • 観測・計算が簡単で誰にでも観測できる
  • 対象者に観測を意識させない
  • 長い期間での観測も可能
  • 統計的な精度が高い分析を行うことができる

一方で、ワークサンプリングを行う際には次のようなデメリットもあることも覚えておかなければなりません。

  • 作業がどの手順で行われているかは記録されない
  • 対象者が作業時間を意図的に変えていた場合有効なデータが得られない
  • 作業内容について標準化された作業手順を守っているかといった詳細は分析できない

ワークサンプリングから生産性向上につなげる

稼働分析の手法のひとつ、ワークサンプリングについて、実施方法と利点をご紹介しました。このように、ワークサンプリングにより作業を分析することで改善余地を見つけだし、生産性の向上へとつなげていくことができるのです。 

参考:

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