梱包材入門【医療機器・精密機器編】

宅配便や引っ越し、通販などでおなじみの梱包用品。今回は、医療機器や精密機器に特化した梱包の用品と資材について、機能面からその特徴を紹介します。

高緩衝の梱包用品

医療機器、精密機器の梱包に共通して求められる機能のひとつに緩衝があります。輸送時の衝撃をやわらげるということです。この機能を持つ梱包用品を緩衝材と呼びますが、緩衝材には製品用と部品用があります。

製品用の緩衝材は、工場などで作られた製品が完成して、お客様に届くまでの物流で衝撃などから内容物を守ることが役目です。製品用の緩衝材はエンドユーザーが最初に手にするという観点から、廃棄やリサイクルのしやすさ、内容物の見やすさ、取り出しやすさを犠牲にせずに衝撃を吸収する性能が求められます。

部品用の緩衝材は、例えば最終製品の組立工場に半導体部品を納入するケースのように、製品を作るための物流で使われます。部品用の緩衝材は、内容物の量が多いこと、取り扱いのスピードが求められること、最終製品より取り扱いに注意が必要、といった点が製品用と違う点といえるでしょう。これらに対応するために、緩衝能力に加えて梱包も開梱も容易で複数の部品が入る通函の仕切りを兼ねたり、防塵や帯電を防止したりする性能が求められます。

クリーン対応梱包用品

クリーン対応も医療機器、精密機器いずれの分野の梱包用品にも共通して求められる機能です。これには「クリーンルームで製造されたもの」と、「クリーンルームに持ち込めるもの」の2種類の意味があります。

クリーンルームで製造される梱包用品は、内容物の汚染を防ぐ目的で使用されます。梱包用品は精密機器や医療機器など、高い洗浄度を求められる製品に直接触れるわけですから、当然内容物と同等以上の清浄度であることが必要です。こうした用途のため、梱包用品もクリーンルームで製造されたポリ袋や気泡緩衝材など、内容物の清浄度に合わせた製品を選ぶことができます。

クリーンルームに持ち込める梱包用品は、それ自体の清浄度はもちろん、開梱の際にコンタミ(汚染)が出ないといった機能が特徴です。発泡剤を使用せず、残留物による汚染を防止した発泡緩衝材がこれに含まれます。

静電防止梱包用品

半導体や電子部品、それらを使用する精密機器類では、静電気による影響を回避するために表面固有抵抗値が低い梱包用品が使われます。静電防止の材料で作られる梱包用品とは、気泡緩衝材や専用の袋などです。よく目にする気泡緩衝材を例にとると、静電防止の気泡緩衝材は色付きのものが多く、表面固有抵抗値の違いで非帯電性、上質非帯電性、導電性のタイプがあります。

滅菌対応梱包用品

特に医療用の梱包用品で必要とされるのが滅菌対応の機能です。内容物の滅菌方法には、ガス滅菌、オートクレーブ滅菌、γ線滅菌、電子線滅菌、プラズマ滅菌などがあり、各滅菌方法に適した梱包用品を選ばなくてはいけません。例えば同じ耐熱温度の袋でも、オートクレーブ滅菌用とレトルト滅菌とでは、内部からの圧力に対して求められる機能が異なってきます。

医療用に滅菌される梱包には関連する国際規格が存在します。ISO11607(「最終段階で滅菌される医療機器の包装」)という規格です。国内ではJISがJIS0841として技術内容や構成が同一の規格を規定しています。これらの規格は「材料,無菌バリアシステム及び包装システムに関する要求事項」と「成形,シール及び組立プロセスのバリデーション」の2部構成になっており、梱包用品の設計や材料選定のガイドラインとして用いることが可能です。検討の際には参考にするのもよいでしょう。

医療機器の包装についての規格に触れましたが、一般的な梱包の試験方法などについても各種規格が規定されています。適用する物流方法や、使われる国などに合わせた評価方法などがありますので、梱包メーカーなどに確認するのもよいでしょう。

緩衝やクリーン対応、静電対応など、医療機器や精密機器に求められる機能を持った梱包用品を紹介しました。そのほかの分野でも内容物や環境に合わせた梱包用品がありますのでぜひ活用してください。

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