【インタビュー】省人化が解決する、物流現場の課題

人口減少やインターネットネットショッピングなどによる需要拡大を背景に、物流業界は人材不足という問題に直面しています。製造現場では早くから省人化、自動化が進められていますが、物流の現場ではまだまだ後発というのが現状。そんな中、株式会社トヨコンでは、省人化の提案に力を入れています。

今回、物流現場における省人化機器の提案にいち早く取り組む物流企画課乾利尚氏に話を伺いました。

倉庫の中で必要となるものすべての提案を行う

乾氏が所属する物流企画課は、倉庫業務を中心に、入出庫業務、保管、梱包出荷、輸送といった総合的な物流提案を行っています。また、自社開発の倉庫管理システムの導入による効率化・標準化や、6Sの活動などを通じた品質向上の提案にも取り組んでいます。

「物流業務を“物流のプロ”である我々に任せて頂き、お客様は製造に専念してください、というコンセプトでやってきました」と乾氏は言います。

物流現場が直面している課題

日本は人口減少社会に突入し、働き手がますます減少・高齢化することは周知の通りです。特に物流業界は、インターネットショッピングの普及と需要拡大により、宅配便の取扱個数も増加傾向にあります。そのため、人材不足や労働環境の問題が多く取り上げられています。

人が減っていくという状況のなかでは、生産性を向上していかなければなりません。そういった課題を解決していくのが省人化機器である、と乾氏は言います。「労働力不足の解消という面だけではなく、作業の効率化、作業環境の改善、危険作業からの開放、品質の安定化など、様々な効果が期待できるツールが省人化機器であると考えています」

物流現場で高まる省人化のニーズ

2-2_XXX1622_R.jpg(画像)ヒアリング資料を基に会議を行う乾氏

省人化を提案していくなかで、そもそも物流の現場がどのような課題を感じているかを把握するため、株式会社トヨコンの主要顧客約300社を対象に、人手不足や自動化に対するニーズに関する調査を行いました。有効回答率は4割ほどでしたが、そのなかの7割強もの顧客が何かしら自動化のニーズがあるという回答が得られました。

この調査により、大手に限らず中小企業を含めた各社が、労働力不足の打開策として自動化機器やロボットの活用に関する検討を始めているといった状況がわかりました。

省人化機器が特に効果的な業種について、乾氏は「稼働時間の長い工場は特に人材不足の問題を抱えています。中でも食品メーカーは衛生上の問題もあって、工場と物流が切り離すことが難しく、これまでなかなか物流業務を外部へ委託することができませんでした。このような業種が省人化機器を導入することによって、様々な課題の解決に繋がるのでは」と自身の考えを述べています。

省人化が遅れている物流現場

物流現場は、製造現場に比べると圧倒的に自動化が遅れている、と乾氏は指摘します。「製造現場はファクトリーオートメーション(FA)と言われる形で自動化されてきていますが、物流現場はまだまだやっぱり人に依存している部分があります。よく、労働集約型の典型的な業態だ、なんて言われますが」

その理由として、ものづくりの現場において量産品の海外生産が進み、国内で作られる製品や部品の小ロット・多品種になっているということが挙げられます。自動化は、大量生産されるものに対してより大きな効果が期待できます。また、包装仕様が毎回異なる製品や、個数が少ない製品に関しては、すべてを自動にしていくのが難しいというのが正直なところです。

ロボット産業の市場規模は拡大し続けている

ロボット産業は、2020年までには約3兆円規模の市場になると予測されています。2015年対比では約181%の伸び率です。そして、2020年以降も益々需要が拡大していくことが考えられます。さらに、経済産業省がロボット産業に力を入れており、2020年までにロボット価格を2割ほど減らそうという動きもあります。ロボット導入企業に対しては、助成金などの制度も実施しています。

乾氏は「需要が高まっていることはこれらの数字からみても明らかです。国をあげて、自動化機器を導入し易い流れを作り出していることがわかります」と話します。

2-3_XXX1541_R.jpg(画像)「省人化機器の導入は追い風が吹いている」と語る乾氏

全体最適を考えて、部分的に最適化していく

省人化機器を導入する前に、まずは現状をきっちり認識することが必要だと乾氏は言います。「何の要因で自動化したいのかという点を考えることが重要です。重いものを持って身体に負担がかかりすぎるから自動化したいのか、常にずっと稼働させたいから自動化したいのかなど、根底の部分が案件によって異なります」

導入にあたり壁になるのは、やはり予算の問題です。当然ですが、要求事項が多ければ多いほど、比例してコストも上がっていくことになります。

また、ロボットといえど万能ではなく、制限はありますし、不得手とする動きもあります。だからこそ、現状と課題、要望を現実的に落とし込んで、どういったロボット設備を導入していくかを見極めていくことが、株式会社トヨコンが提案していく領域なのです。

提案に際して、社内で販売のプロセスを標準化する取り組みも行っています。顧客の要件定義もマニュアル化し、顧客側とお互い認識のズレがない形で進めていきます。

システムインテグレータ事業の参入も

さらに、株式会社トヨコンとしては、システムインテグレータ(SI)事業への参入も予定しています。元々管理システムやソフトウェアの開発部門を持っているため、そういったノウハウも活かしていく狙いもあります。

「単体でモノを販売するのではなく、工程全体を設計し、ロボット、周辺機器、プログラムを組み合わせたロボットシステムを構築し提案していこうと考えています」と乾氏は話します。

2-4_XXX1664_R.jpg(画像)省人化機器の提案を進めるため、全国各地を飛び回っているという

物流業務と省人化機器の提案という二つの軸

これまでも商社として包装資材の販売を行ってきたため、自動で包装するテープを貼る機械や、自動的に箱を組み立てる機械など、自動化機器の単体での販売実績があります。これからは、物流の工程をトータルでカバーする"自動化システム"というような形で省人化機器の販売に力を入れていきます。

乾氏は今後の展望についてこう語ります。

「これまでの物流業務、倉庫提案も引き続き取り組みながら、その領域で叶えられなかったことを省人化に置き換えてお客様に提案していきたいです。まだまだ時間を要しますが、この取り組みが将来的に『ものづくり日本』の成長を支える一助になればと思っています」

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